hide with Spread Beaver『ピンクスパイダー』
今日はhide with Spread Beaver『ピンクスパイダー』を聴いた感想を。
この曲は、日本のロックバンドhide with Spread Beaverが1998年にリリースしたロックチューンです。
hideとしては自身初のミリオンセラーシングル曲。
面白いのは詞。
「借り物の翼では うまく飛べず まっさかさま 墜落してゆく」
歌詞の主人公は桃色の体をもった蜘蛛ですが、自由な空での暮らしに憧れて、蝶の羽をむしりとり自分の体に装着。
空に向かって飛び立ちますが、しかし結局その羽根は他人のもの。
使いこなす事ができず、再び地面に落下してしまいます。
作詞・作曲者のhideいわく「失敗と挫折」の歌。
「挑戦は良い事だけど、初めから上手くいくほど世の中甘くないよね」という意味が込められているようです。
けれど決してネガティブな歌ではありません。
「わずかに見えた あの空の向こう 鳥達は南へ」
「「もう一度飛ぼう この糸切り裂き
自らのジェットで
あの雲が 通り過ぎたら…」」
インタビューでhide自身が語っているように、本来「前向きなメッセージが込められた曲」。
蜘蛛は一度失敗を体験しましたが、諦めず「自らのジェット(情熱)」で次の機会を伺い続けます。
蜘蛛を歌詞の中で一度失敗させたのは、蜘蛛が挫折から立ち直り、もう一度挑戦する姿を読み手に表現する為の前フリのようですね。
「転ぶ事は恥ずかしい事じゃない。起き上がれない事が恥ずかしいんだ。」という言葉がありますが、ただ前向きな言葉を羅列するだけの詞より、転んだ状態から起き上がろう、という歌詞の方が余程人の心に訴えるものがあるのではないでしょうか。
もちろん歌詞だけじゃなく、楽曲的にもハイクオリティ。
捻りのあるリフ、ハードな演奏から突然優しくメロディックになる展開など聴きどころが沢山あります。
スローなBPMで、これだけ「ロック」を表現しているのは凄いセンスです。
ちなみにhideは、キャッチーな要素もありながら、基本的にはハードなこの曲をリリースにこぎつける為に、レコード会社の人にキャッチーなパートだけを聴かせてCDを作らせた、というエピソードも。笑
アーティストとしてだけじゃなく、プロデュース戦略センスも鋭いようですね。笑
ちなみにRIZEと
倖田來未(カバーアルバム『Color the Cover』収録)
のカバーによって再び人気に火がついた曲でもあります。
そちらも原曲とはタイプの違うロック感のあるアレンジになっているので、興味のある人は是非聴いてみてください。
それでは。