音の日

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長渕剛『とんぼ』

今日は長渕剛『とんぼ』について。


アルバム「昭和」収録。

この曲は、日本のシンガー・ソングライター長渕剛が1988年に発表したフォークソングです。

長渕剛本人、哀川翔仙道敦子が出演している事でも知られるドラマ「とんぼ」の主題歌としても有名。


素朴で重みがある曲。

「乾杯」の並ぶ長渕剛自身の二大代表曲の1つです。

フォークギターを主体としたしっとりとした曲調ですが、とても男らしい雰囲気。

長渕剛の渋い歌声は、ロックボーカリストのシャウトとは違った意味での迫力がありますよね。


『とんぼ』と言えば、やはり有名すぎるこのフレーズ。

「あぁ幸せのとんぼよ何処へ お前は何処へ飛んでゆく」
「あぁ幸せのとんぼがほら 舌を出して笑ってらぁ

元々、田舎から都会に憧れて上京してきた者達の挫折を歌い上げた曲。

「とんぼ」を幸福の象徴と捉え、それでいてなかなか手の届かない存在、として比喩したようです。

けれどそれを踏まえても、初めて聴いた人の中には「なんで“とんぼ”なんだろう」と思った人も多いかもしれません。

長渕剛は自身の著書の中で

「田舎のとんぼは群れをなして楽しそうに飛んでいるのに、東京にいるとんぼはいつも一人ぼっちだ。だけど、都会のトンボは1人でも、愚痴も言わず精一杯水辺を探して飛んでいる。まあ立派な奴だよ。」

と語っています。

その「立派な奴」が、地方から出てきたばかりで孤独な人に、「都会で孤独に努力する者」の先輩として「この冷たい東京で、君はどこまで幸せになれるかな」と舌を出して笑ってる姿を表現した歌詞、のようです。

ドラマの内容になぞらえて書かれた詞だそうですが、きっと長渕剛本人も、初めて上京した時は右も左も解らず、それでいて助けてくれる人もほとんどいない東京で苦悩していた時期があったんだと思います。

きっと、その自分の立場を都会で懸命に飛び続けるとんぼの姿と重ねて生み出されたのが、この作品なんですよね。

実際、若者が上京する時に地元の家族友人から応援ソングとして歌われる事が多い曲ですが、リリースして約30年経過した現在でもこの曲が時代を越えて愛されるのは、長渕剛が体験し心から涌き出た本音の魂の叫びが、この曲に込められているからではないでしょうか。

長年多くの「努力するひとりぼっちな人」の心を支え続けた偉大な作品だと思います。


寂しくも温かい曲を聴いてみてください。



それでは。