音の日

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稲葉浩志『Overture』

今日は稲葉浩志『Overture』について。


アルバム「志庵」収録。

この曲は、日本のシンガー・ソングライター稲葉浩志が2002年に発表したロックバラードです。

高山みなみ山崎和佳奈神谷明が声優として出演している事でも知られるアニメ「名探偵コナン」のEDテーマだった事でも有名。


ヘヴィながらキャッチーなバラード。

B'zのバラードに近いと思います。

作詞、作曲、アレンジ全て稲葉本人が出掛けたようですが、松本孝弘の手を離れてもB'z並のクオリティの曲を作れるという、彼のアーティストとしての多才ぶりが表れた曲です。

むしろ長年そばにいて、松本のセンスに感化されたからこそ作れた曲なのかもしれませんね。


ただユニークなのは、曲調、特にサビメロ部分はハードロック並みにダイミックなのに、歌詞は男の未練のような脆ささえ感じさせる内容。

「胸をはってひとりになってすがすがしい気になったけど」
「自由を求めもがくエネルギーそんなものがなぜか恋しい」

確執があった恋人と別れたけど、いざ別れると「さっさと別れて身軽になりたい」という思いさえ懐かしくなってしまう主人公。

男の女々しさがよく表現されていますよね。笑

「そしてそこに待っているのは 君であってほしい」
「君だったらいいのに ありえないとしても君であってほしい」

夢を叶えて辿り着いた先には、再びその恋人に迎えてもらいたい、と想い。

悪くみるとご都合主義にも見えるかもしれませんが、それでも本質的には「失ってはじめて気付いた大切さ」を描いた、切ないラブソングだと思います。

ある意味真っ直ぐな愛の歌。

稲葉自身は自分の歌詞を「小市民的」と表現していますが、必ずしも壮大ではない、だからこそ「身近」な歌詞はより多くの人の心に届くのではないでしょうか。

読み手に「自分と同じ小市民でも、懸命に生きてる人がいる。自分も前を向こう。」と思わせてくれる、弱さを歌う事で強さを与えてくれる曲なのかもしれませんね。


タイトルの和訳は「序曲」。

終わりから始まるスタートを描いた曲を聴いてみてください。



それでは。