ケツメイシ『さくら』
今日はケツメイシ『さくら』を聴いた感想を。
この曲は日本の音楽グループ、ケツメイシが2005年にリリースしたヒップホップです。
リズムにはヒップホップの勢いがありながら、バラードのような雰囲気が漂う曲。
ビートは聴いていると踊りたくなるように明るいですが、メロディはしっとりとしていて非常にデリケートです。
対してコード進行とリズムはほとんど一定で、同じような流れを繰り返しています。
聴き手がより歌メロに没頭しやすいような曲構造、というイメージでしょうか。
海外ヒップホップグループは、どちらかと言うとリズムの勢い、迫力で魅せようとするパターンが多いと思いますが、あくまで歌メロの情感、流麗さで聴かせようとする向きは、歌謡曲文化が根強い日本のミュージシャンらしさですよね。
詞もメロディと同じくらい切ないです。
「あの日以来 景色変わらない」
「散りゆく花びらは語らない」
「さくらの下に響いた 君の声 今はもう」
主人公が「桜の景色は変わらないけれど、恋人はもういない」と途方にくれる様子が描写されています。
ここで切ないのは、桜が一度散ってしまって辛い思い出を忘れられても、次の同じ春の頃にはまた同じ風景を見て思い出してしまう事ですよね。
「諸行無常」とか「万物は流転する」とは言いますが、人の心の深い所にある感情はなかなか変わる事は無く、変わるとしても長い長い時間をかけてでしか変われないもの。
多くの人が心の中に1つは持つ「忘れられない悲しい思い出」の部分と共感できる詞だと思います。
前述した「同じようなコードとリズムを繰り返す」部分も「繰り返し思い出してしまう記憶」を表現しているものだとしたら、それもまた情緒的ですよね。
ちなみに井上苑子によってカバーされた事でも知られています(映画『ReLIFE リライフ』EDテーマ)。
原曲とはまた違うフレッシュさがあるバージョンになっているので、興味がある人は聴いてみてください。
それでは。