ポルノグラフィティ 『サウダージ』
この曲は日本のロックバンドポルノグラフィティが2000年にリリースしたポップロックです。
タイトルの『サウダージ』の意味はポルトガル語で「郷愁」「失ったものを懐かしむ感情」。
ラテンのリズムで突き進む曲。
シングルではポルノグラフィティ至上最大の売上を記録した曲で、踊りたくなるようなビートに親しみやすいメロディが絡む様は、サザンオールスターズの楽曲を彷彿とさせます。
親しみやすい、とは言ってもボーカルのメロディラインは、一般の人が正確になぞって歌うのは難しいリズム。
逆に言えば難しくても、「とっつきにくさ」が無い独特な魅力を持った曲、と言える楽曲ではないでしょうか。
歌詞は女性目線の未練のメッセージ。
「諦めて恋心よ 青い期待は私を切り裂くだけ」
「あの人に伝えて…寂しい…大丈夫…寂しい」
すでに気持ちの離れた恋人に対して、「まだやりなおせるんじゃないか」と期待しながら「いや、こんな期待はしちゃいけない」と自分を戒める。
けれど強がっても気持ちは押さえきれず「…寂しい」と心の中で呟いてしまう。
別れを惜しむ女性の心境が生々しく描かれていると思います。
ちなみに詞が女性視点の理由は、作詞者の新藤晴一(Gt)いわく「男にも女々しい部分はあるからそれを書きたかった」とのこと。
確かに別れた恋人への未練は、一般に女性より男性の方が強いかもしれませんね。笑
という事はこの詞は女性視点というよりも、未練がましい男心を、晴一のイメージの世界の女性の口を借りて代わりに語らせた、という方が近いのかもしれません。
しかしただ未練を呟いて終わりの歌では無く
「許してね恋心よ 甘い夢は波にさらわれたの」
「いつかまた逢いましょう その日までサヨナラ恋心よ」
最後では、恋人と過ごした時間が美しい思い出であった事を受け入れ、その上で「いつか新しい恋を見つけよう」と強く前を向く言葉が綴られています。
後ろ向きなまま終わりでは無く、かと言って前だけを向いているわけでも無く、散々後ろを振り返った人がようやく前を向く、という歌詞は、失恋に悩んだ多くの人の心に突き刺さるのではないでしょうか。
好きな人と結ばれたわけじゃなくても、切ないだけの詞では無い、というとても高度な次元のラブソングだと思います。
詞のヒロインの恋はその後どうなったかは知りませんが、晴一自身は愛する人と幸せな日常を送っていて何よりですよね。
中森明菜がカバーアルバム「Belie」において本作をカバーしていますが、原曲とはまた違った郷愁感が溢れるアレンジになっているのでそちらもオススメです。
それでは。