ヨーロッパ『The Final Countdown』
今日はEurope『The Final Countdown』について。
アルバム「The Final Countdown」収録。
この曲は、スウェーデンのHR/HMバンドEuropeが1986年に発表したハードロックです。
日本ではスズキ・カルタスのCMソングとしても知られています。
格闘技大会の入場曲に使われる事も多い為、タイトルを知らない人でも聴けば「あぁ、あれか!」となるのではないでしょうか。
歌詞は、金星へ旅立つ宇宙飛行士の心境を描いたもの。
「まず、金星へと向かい ただ、強い心で成し遂げる 全ての眼差しと、声援に応えるため」
「何光年もの果てに向かい、それを見つけ出す
淋しさは、胸に仕舞い込んで」
「さぁ、最後のカウント・ダウンだ…」
ジョーイによれば、1969年のアポロ月面着陸と関連したヴィッド・ボウイの「Space Oddity」をヒントにしたそう。
壮大な曲に合う歌詞にする為に何度も何度も書き直したそうですが、宇宙に向かったという偉業自体ではなく、宇宙に向かう際の宇宙飛行士の「心境」の方を描いている所に趣きを感じますよね。
曲は、ハードロックながらも適度にポップスの要素を含んだもの。
ジョーイの歌唱法もあまり硬質過ぎず、おそらく普段HR/HMを聴かない人にとっても聴き心地が良い歌声になっています。
一般的にHR/HM畑のボーカルといえば荒っぽいシャウト声で歌うイメージがあると思いますが、ジョーイの歌声はどちらかというとナチュラル。
それでいてHR/HMファンからも支持されているのが凄いでよね。
しかも若い時はまるで昔話の世界から飛び出してきたような、いわゆる「王子様系」のイケメンだったわけですから、もはや無敵です。笑
ジョン・ノーラム(Gt)のソロもテクニカル。
クラシックに出てきそうな、緻密ながらもメロディックな旋律です。
「ヨーロッパ」の激しくも品のある方向性を表しているかのよう。
ソロ前にドラムが勢いをつけてくれているところがミソ。
この楽曲の聴きどころは、何と言ってもこの印象的なミック・ミカエリ(Key)によるキーボード・リフ。
ホーン・セクションの要素をロックに取り込んだようですが、そのインパクトと知名度は、かのヴァン・ヘイレンの「JUMP」と並び称される程です。
世間の人がメディアや街中でこの曲を耳にするのも、ほとんどの場合はこのキーボードのサウンドではないでしょうか。
元々ジョーイがこのリフを思いついた事でこの曲が生まれたそうですが、当初ジョン・ノーラムはこのフレーズを『The Final Countdown』に導入する事に、なんと大反対。
「No, this is nuts.(こんなの、クソだ)」とまで言われたそう。
しかしジョーイの方も譲らず粘り続け、最終的には導入する事に。
そうして完成した本作は、1stシングルとして世界25カ国でNo.1を記録(Billboard Hot 100では8位)し780万枚をセールス。
彼らの代名詞的作品とまで呼ばれるようになりました。
ただしジョン・ノーラムの方は気が収まらず、アルバム発売後、間もなくバンドを脱退してしまいます。
色んな意味でEuropeの分岐点の呼べる作品ではないでしょうか。
まぁジョンは2003年には復帰しているので、今となってはそれもひとつの思い出話かもしれませんが。笑
一聴しただけでも記憶に焼き付くメロディの曲を聴いてみてください。
それでは。