ミスター・ビッグ『Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)』
今日はMr.Big『Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)』について。
アルバム「Lean Into lt」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドMr.Bigが1991年に発表したハードロックです。
「君が探しているものすべて 君が望むもの いやもっとそれ以上のものを与えてあげるよ」
「例えるなら 君の親父や兄弟、恋人、小さな子供 どんな存在にだって朝飯前でなれるってことさ」
堂々としたラブソングの歌詞。
一般的に日本のラブソングは、もうちょっと草食系というか、「偲ぶ恋」のような愛の詞も多いイメージ。
ですが、こういう自信に満ち溢れた愛の詞を嫌味なく書けるのは、良い意味でアメリカのロックバンドらしさですよね。
曲は、Mr.Bigとしては珍しい疾走曲。
基本的にはミディアムテンポの曲が多い彼らの楽曲の中では、ある意味異彩を放っています。
しかしメロディ自体は爽快感のカタマリというか、非常に陽気なもの。
世間一般の「ヘヴィメタルはダークで激しい曲で、ハードロックは陽気で激しい曲。」のイメージを(実際にそう決まっているわけではありませんが)地でいくような旋律です。
この部分もまた「アメリカらしさ」ですよね。
とはいえ楽曲自体がノリまかせという意味では決してありません。
曲に使用されているテクニック、工夫は「さすが世界的HR/HMバンド」と呼ぶべきもの。
ポール・ギルバート(Gt)の、イントロ部分の「電動ドリルの先端に、ギターピックを取り付けての高速プレイ」はあまりにも有名。
当時のギター・キッズの間で大変話題になりました。
ちなみにポールいわく
「ドリルは、マキタの充電式電気ドリルじゃないとだめなんだ。」
とのこと。笑
日本の技術がこんな所でも役立っているんですね。笑
個人的に最大の見せ場は、ギターソロ前のポールとビリー・シーン(Ba)の高速のユニゾン。
「指が何本あるんだろう」と思ってしまう程の超絶技巧です。
ファンから「ギターソロでもあり、ベースソロでもある」と呼ばれる名場面ですが、初めて聴くアマチュアギタリスト&ベーシストの人は驚くのではないでしょうか。
もちろんポールのギターソロも凄い。
嵐のようなオルタネイト・ピッキングの音が、聴き手を音の渦に呑み込んでしまいます。
フレーズを聴くと、日本の名メタルバンドLOUDNESSの高崎晃からの影響が色濃く伝わってきます。
ポールの高崎晃への畏敬の念が感じられるソロです。
これもまた「日本の技術」ですよね。
軽快で重厚なハードロックを聴いてみてください。
それでは。