スピッツ『チェリー』
今日はスピッツ『チェリー』について。
この曲は日本のロックバンド、スピッツが1996年にリリースしたポップロックです。
作詞・曲共に草野正宗(Vo)。
「空も飛べるはず」「ロビンソン」と並ぶ、スピッツの代表曲の1つ。
ノンタイアップにも関わらず、発売から4週目には1位を獲得。
最終的にはミリオンセラーまで記録し「ロビンソン」とほぼ同枚数を売り上げたという、規格外の作品です。
意外にもメロディラインもコードも、彼らの楽曲の中でも非常にシンプルな部類。
「シンプル・イズ・ベスト」を地で行くようです。
ただし田村明浩のベースの動きだけはトリッキーで、かなり小回りが聴いています。
いわゆる「ランニング・ベース」。
「メロディよりリズムの動きが派手な曲が好き」という人にはオススメです。
歌詞の世界観は失恋ソング。
「二度と戻れない くすぐり合って転げた日」
「きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる」
この歌詞について草野正宗はインタビューで
「想像以上に 騒がしい未来が僕を待ってる”というのは、あくまでこの楽曲中の主人公の希望的観測」
と語っています。
さらには「(主人公は)退屈な毎日を過ごしていて、退屈な未来しか待っていないような人物かもしれない」とまで。
以前、自身の詞について「聴き手によって解釈は自由で良い」という趣旨のコメントを残していた彼ですが、だからこそ「必ず幸せとは限らない主人公」を描いたのかもしれませんね。
一方で「新たな旅立ち」というテーマもあるとのこと。
実際「ツアーでたくさんの地方を行き来した経験が大きく影響している」という発言もあります。
「いつかまた この場所で 君とめぐり会いたい」
巡り会いたいけど実際会えるかはわからない、これもまた「聴き手によって自由な解釈ができる」詞ですよね。
草野正宗の書く詞は聴き手の心境、環境によっていくらでも解釈できて、だからこそ時代や人を選らばず多くの人々の心に届きます。
彼がファンからボーカリストとしてだけじゃなく、作詞家としてもリスペクトされている理由なのかもしれませんね。
過去を振り返りながらでも、未来を想いながらでも聴ける曲だと思います。
それでは。