音の日

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石川智晶『アンインストール』

今日は石川智晶『アンインストール』を聴いた感想を。


この曲は、日本の女性シンガー・ソングライター石川智晶が2007年にリリースしたポップロックです。

声優の阪口大助保志総一朗杉田智和が出演したことでも知られるネットアニメ「ぼくらの」OPテーマとしても有名です。


「ぼくらの」のために書き下ろされた楽曲。

タイトルの「アンインストール」とは、基本的には「(ソフトウェアなどのプログラミングシステムを)削除する」という意味。

ですが、この場合は作中に登場するパイロット達が次々と命を失っていく様子を比喩表現したものだそうです。


とても鋭い曲。

出だしの石川智晶の合唱のようなフェイクから、すで「この曲がどういう曲か」が表現されています。

歌パートに入っても歌い方が機械的なまでに無機質で、そのことで意図的に楽曲の悲愴感を引き立たせているいるような印象です。

サビ前にかなり大きなキメが入るところがポイント。


個人的には石川智晶は作曲家としても好きですが、それ以上に作詞家として好き。

「この星の無数の塵のひとつだと 今の僕には理解できない」

世間では、目の前で悩んでいる人がいると「世の中にはもっと苦しんでる人がいるんだから」と、比較で励まそうとする人もいます。

けれど多くの人は本気で悩んでる時に、会ったこともない他人の苦しみをイメージする、というのは難しかったりするもの。

そのリアルをズバッと突きつけるような詞です。

その上で、

「恐れを知らない戦士のように 振る舞うしかない」

という結論を下す。

形だけでも前を向いて進むしかない、という後ろ向きなボジティブさを見事に表現していると思います。

アニメの展開に的確に沿って流れる歌詞は、原作者の鬼頭莫宏のお気に入りでもあるもよう。

ちなみに石川智晶自身はこの歌詞を、公式ブログ上で

「子供は親を選べない。生まれた時から親の見るもの、聞いたもの、クセ、信じてるものをこちらは選択の余地もなく、一方的に「インストール」される訳で。

成長するにつれ、あれ?違うじゃん!って思うことが出てきたとしても、長い間クセつけられたものは、すぐには変えられない。

それから抜け出す。取り出す。

だから「アンインストール」ってことで」

と語っています。

本人にとっても特別な曲なのか

「自分が心底、こういう曲作りたかったんだよと、思えた曲でした。」

とまで綴っていました。


この曲のファンの中には「アニメはまだ見てないけど、この曲は好き」というコメントが寄せられていて、自他共に認める魅力を持つ歌です。


悲しい決心が込められた曲を聴いてみてください。



それでは。