Dir en Grey『艷かしき安息、躊躇いに微笑み』
今日はDir en Grey『艷かしき安息、躊躇いに微笑み』を聴いた感想を。
アルバム「THE MARROW OF A BONE」収録。
この曲は日本のロックバンドDir en Greyが2007年に発表したロックバラードです。
イントロからアウトロまで、終始ネガティブな曲。
何かを呟くようなギターは美しくも、どこか不安感を煽るような音色です。
一見アコースティックギターのようなサウンドですが、実はエレキギター。
「ギターマガジン」でのインタビューにおいて
「クリーンでアンプを鳴らした音と、右手にマイクを近づけてピッキングした生音を拾ったものに、ディレィをかけた音を混ぜて作った音」
とメンバー自身からコメントが。
常に新しいものへの挑戦を続ける、彼らの音楽へのプライドを感じることができます。
詞の面でもメロディ面のでも、とにかく展開が壮絶な曲です。
イントロからずっと神秘的ながら哀愁のある旋律が流れ続け、そのまま終わった…と思いきや、一瞬の間を空け
「もう誰も…全て消えろ」
と凄まじいシャウト。
京(Vo)の「慟哭」とも言える歌声が大音量で迫ってきます。
以前インタビューで「余裕の無い人間の叫びこそリアル」と答えていた彼ですが、それをストレートに体現したような声。
そして叫んでいるのに、それがむしろ登場人物の無力感を思いきり引き立てているのが見事だと思います。
「自分は歌い手では無く表現者」という京の音楽的思想がダイレクトに伝わってくる曲ではないでしょうか。
失望感と寂しさが入り交じる歌を聴いてみてください。
それでは。