B'z『Don’t Leave Me』
今日はB'z『Don’t Leave Me』について。
この曲は、日本のロックユニットB'zが1994年にリリースしたロックバラードです。
第9回日本ゴールドディスク大賞ベスト5シングル賞受賞曲。
また植木等、東幹久、かとうかずこが出演したことでも知られるドラマ「新空港物語」主題歌としても有名な曲です。
曲調は和製ブルースロック。
序盤はゆるやかなメロディで、後半部分から圧力を増していく展開になっています。
この曲の直前に発表されたシングル「裸足の女神」が王道のJ-POPバラードだったのに対して、まるでアメリカのハードロックのようなサウンド。
最近では珍しくないハイトーンシャウトが、ギターソロ前で披露されているのも印象的。
稲葉浩志(Vo)がB'zの活動の中で、ハイトーンを多用するようになったのも丁度この曲あたりからではないでしょうか。
ちなみに昔ながらのファンの中には本作を「B'zの転換期」と呼ぶ人も。
作曲者の松本孝弘(Gt)自身も、本作の趣旨を
「(『The 7th Blues』からの先行)シングルとして、今までの様なポップな曲も候補にはあったけど、そろそろ目先を変えたものが必要だと思うし、自分たちがいいと思った曲をあえてシングルにした」
と語っていて、「これまでのB'zの型を打ち壊そう」という意図を感じます。
稲葉の歌詞も
「惜しくない 君を失っても」
「本気で思った いい気分で坂を転がり」
と、これからの自分達の路線変更を示唆するようなフレーズが。
前述の松本の「自分達がいいと思った曲をあえてシングルにした。」発言もそうですが、逆に言えばこれまでは「自分達がいいと思った曲はシングルにさせて貰えなかった。あるいはしなかった。」という捉え方もできます。
やはりアーティストとは言え事務所所属である以上、ある程度売り上げを意識せざるを得ないような状況はあって、B'zも「出したい曲が出せない」という葛藤に苦しんだ時もあったのかもしれません。
しかしきっかけは何かわかりませんが、この曲からはその戒めを振り切り、思いきり自分達のやりたいダイナミックなロックサウンドの音楽を発表したわけです。
タイトルが『Don’t Leave Me(離れないで)』で、歌詞にも
「だれもいない ぼくを包んでくれるのは本当にいない」
「IT’S TOO LATE 君の代わりは」
とあるように、心の奥ではファン離れを怖れる気持ちもあったのかもしれません。
だからこそ、その不安を乗り越えてリリースしたこの曲は、B'zのアーティストとしての魂をそのまま体現した作品と言えるのではないでしょうか。
新たなB'zの幕開けに相応しいバラードだと思います。
挑戦の想いが込められた曲を是非聴いてみてください。
それでは。