B'z『月光』
今日はB'z『月光』を聴いた感想を。
アルバム「RUN」収録。
この曲は、日本の音楽ユニットB'zが1992年に発表したポップバラードです。
切なく、幻想的な曲。
ギターのアルペジオとシンセの音が絡み合い、タイトルのようにぼんやりとしたサウンドが生み出されています。
1コーラス目はおとなしい曲調。
演奏陣の音圧も控えめで、稲葉(Vo)の声も囁き声。
しかし2コーラス目に入ると少しずつ演奏に勢いがつきはじめ、サビに入るとグンッとサウンドに力強さが宿ります。
始めは抑えていた感情が、堪えきれなくなって爆発したようなイメージです。
音の輪郭もくっきりとしていきます。
そこから曲のナイーブさとは正反対の、松本のややハードロック調のギターソロを経て、稲葉の強く願うような歌声のアカペラパート。
最後には大サビで、一際厚みのある演奏、歌声が流れ幕を閉じる。
展開自体はオーソドックスなポップバラードですが音色がファンタジックなのと、B'zの曲としては苦しみをストレートに表した作品なので、心の奥に突き刺さる感じがします。
この曲は歌詞が好きです。
「何かを期待することで 時にすれ違うけれど」
「無心に与えあい続けることは 夢の道端に咲く花のようだ」
「誰にできることなのだろう」
見返りを求めない無償の愛の価値を認めながらも、「そんなもの誰が持てるんだ」、と突き放すような言葉。
この約5年後に発表される「Liar! Liar!」の時は
「愛する人がハッピーになりゃそれでいいや」
と言っていますが、熱い熱の詞と冷めたような愛の詞、両方を書けるのが作詞家としての稲葉浩志の持ち味だと思います。
彼の心の中には、一体どれだけ沢山の感情が存在するんでしょうね。
曲のラストに松本が、あえて「ギュイィィン」と荒々しく鳴らしているギターにも味があります。
一曲の中で混ざり合う、静寂と激情を感じてみてください。
それでは。