Malice Mizer『ヴェル・エール~空白の瞬間の中で~』
今日はMalice Mizer『ヴェル・エール~空白の瞬間の中で~』について。
この曲は、日本のロックバンドMalice Mizerが1997年にリリースした曲で、精密な演奏と哀愁のある音階が印象的なロックチューンです。
彼ら自身の、記念すべきメジャーデビューシングル。
タイトルの『ヴェル・エール』には、フランス語で「vel aile(青い翼)」、「bel air(広大な空)」の2つの意味が込められています。
歌詞は、とても切ないものです。
「大空に浮かべた思い出の中で」
「踊る二人を見つめ泣いていた」
主人公が、もう戻らない、幸福だった時代の二人の思い出を、空に描いて途方に暮れる姿が描写されています。
こういうドラマ性がある世界観の歌詞は、Malice Mizerの持ち味ですよね。
寂しげな歌メロと、綺麗に絡む歌詞だと思います。
この曲は、とにかく作り込みの細かさが素晴らしいです。
ツインギター、変拍子、とHR/HMの要素が織り込まれていて、聴き手によっては「メロディックスピードメタル」と評する人もいます。
さらに、静かなイントロに始まり、そこからHR/HM調のビートに変調、サビに入り、また静寂が訪れ、大サビ、と展開のメリハリも凄いです。
加えて、Kamiのドラムの正確さには鳥肌がたちます。
彼のドラマーとしての評判は聞いていましたが、この音源でのプレイは、驚異の領域ではないでしょうか。
極めつけは、Gacktの歌声です。
現在もとてもかっこいい歌声を聴かせてくれる彼ですが、この頃の発声は、迫力のある今のロック調の歌い方とはタイプが違い、やや彼が幼い頃から学んでいた声楽の発声に近い感じがします。
クラシカルな楽曲が多いMalice Mizerには、この歌い方の方が合っているのではないでしょうか。
あらゆるジャンルの楽曲を歌いこな様は、さすがはGacktだと思います。
滑らかな歌声と、起伏が大胆な展開の楽曲が聴きたい人に、オススメの曲ですね。
それでは。