工藤静香『Blue Velvet』
今日は工藤静香『Blue Velvet』について。
この曲は、日本の歌手工藤静香が1997年にリリースしたポップロックです。
アニメ「ドラゴンボールGT」第3期EDテーマ。
「ダメなのよ あなたでなくちゃ」
「触れていたい 小指の先でも」
「ドラゴンボール」のタイアップとは思えない艶っぽい歌詞。
実際、耳で聴いてもドラゴンボールの他の主題歌とは異なる雰囲気を醸し出しています。
ですが「歌っているのは工藤静香」という認識があれば違和感は感じないですよね。笑
この曲での彼女の歌い方は、とてもエキサイティング。
作曲者が「シャ乱Q」のギタリストはたけの為、バッキングはロックな音色でテンポも速いですが、それに力負けすることもなく、パワフルに歌い上げられています。
決め所ではシャウトまで披露。
聴き手を圧倒するようなアグレッシブさが、この曲の魅力です。
実は工藤静香本人が、鳥山明のサイン色紙や大量のドラゴンボールグッズを所有している程の大のドラゴンボールファン。
その為か、歌声にいつも以上の気合いが入っている気がします。笑
ちなみに西野カナは、幼い頃に聴いて衝撃を受けた曲としてこの曲の名前をあげ、また2013年には倖田來未によってカバーされています。
カラオケでの人気も高く、オリコン週間カラオケランキングでも1位を獲得したことも。
プロ、アマ問わず支持されている曲です。
工藤静香にアイドル歌謡のイメージを持っている人ほどギャップを楽しめると思うので、是非聴いてみてください。
それでは。
ザ・ダークネス『I Bleave in a Thing Called Love』
今日はThe Darkness『I Bleave in a Called Love』について。
アルバム「Permission to Land 」収録。
この曲は、イギリスのHR/HMバンドThe Darknessが2003年に発表したハードロックです。
激しくもキャッチーな曲。
AC/DCが好きな人ならハマりそうです。
硬質でどっしりとしたリズム隊のサウンドとギターリフが、すっきりとマッチしています。
音色はハードですが、ビートはノリの良いロックンロール。
王道なメロディのギターソロもポイントです。
歌詞もどことなく古風。
「いつでも君にキスしていたいよ」
「毎分 毎日ね」
「君は俺を戸惑わせるけど そんなの一切問題無しさ!」
本人達は、「音楽的な影響はAC/DC、エアロスミス、クイーン、レッド・ツェッペリンから受けた」と語っていましたが、作詞面でも70年代アーティストからインスパイアされている気がしますよね。
PVでの、何故かカニに石を投げつけられるシーンはユニークでした。笑
バックの演奏は、オーソドックスなHRを地でいくものですが、それでもこの曲を独創的たらしめているのは、ジャスティン・ホーキンスのヴォーカルプレイによるものではないでしょうか。
連発されるファルセットに味があります。
もちろん他のバンドにも、ファルセットが使用されている楽曲は沢山ありますが、一曲の中でここまで多用するロックは珍しいと思います。
そのセンスもさることながら、ファルセットでも歌詞がはっきりと聴き取れるように歌う発声技術も凄い。
ジャスティンといえば、テクニックに非常に強いこだわりを持つVoとして知られていますが、この曲を聴くとそれがはっきり伝わってきます。
スキルと個性を併せ持つ、素晴らしいVoといえるのではないでしょうか。
ちなみにバンド自体も数々の著名人から愛されていて、マドンナ、アヴリル・ラヴィーン、更にはイギリスのブレア元首相もThe Darknessのファンであることを公言しています。
カリスマ同士どこか惹かれあうものがあるのかも知れませんね。
一度聴くだけで忘れられないロックを是非聴いてみてください。
それでは。
スピッツ『空も飛べるはず』
この曲は、日本のロックバンドスピッツが1994年にリリースしたポップロックです。
TOKIOの長瀬智也、酒井美紀、京野ことみが出演していることでも話題になったドラマ「白線流し」の主題歌としても知られています。
「ロビンソン」と並ぶ、彼らの2大代表曲と呼ばれる曲。
詞・曲ともに草野正宗(Vo)作。
リズムが軽快で、メロディが朗らか。
特にハイテンションな曲というわけでもないのに、不思議と聴き終わると、心が軽くなるような感じがします。
明るいだけじゃなく、うっすらと切なさが混ざるメロディは、前述の「ロビンソン」を彷彿とさせますよね。
スピッツ特有の、良い意味での「どのジャンルなのかよくわからない」音楽性が、前面に出ている曲ではないでしょうか。
詞も同じくらい印象深いもの。
「ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも」
「ずっとそばで笑っていてほしい」
「汚く卑劣な事さえ正当化される世の中でも、あなたは僕のとなりで幸せでいてほしい」という、風刺と純愛が同時に込められたようなメッセージ。
鋭さと温もりを併せ持った、草野らしい詞です。
草野の個性であるふんわりした歌声と、絶妙なバランス感を演出していると思います。
曲の奥深さから、業界人からもリスペクトされている曲で
2012年にTVアニメ『つり球』のEDテーマで、さよならポニーテールがシングル「空も飛べるはず/ビアンカ/恋するスポーツ」、アルバム「青春ファンタジア(初回生産限定盤) 」で、
2017年に映画「トリガール!」の主題歌として、ねごともシングル「空も飛べるはず/ALL RIGHT」でカバーしています。
どちらもオリジナルとはまた違う魅力のある仕様になっているので、是非聴いてみてください。
それでは。
Dir en Grey『Clever Sleazoid』
今日はDir en Grey『Clever Sleazoid』を聴いた感想を。
この曲は、日本のロックバンドDir en Greyが2005にリリースしたロックチューンです。
映画『DEATH TRANCE』のエンディングテーマとしても知られています。
一曲の中で沢山の表情を見せてくれる曲。
AメロではインパクトのあるデスVoでのウィスパーから始まりますが、中間部ではメロディアスなハイトーンな歌メロに豹変します。
そのパートは圧力がありながら歌声はクリアです。
Dir en Greyの曲といえば、一曲の中で京(Vo)が様々な声色を使い分けることでも知られていますが、それがここまで多彩な作品も珍しいと思います。
歌詞から感じるのは、強い怒りと無力感。
「右、左、前、後ろから絶望と苦痛が溢れ出す」
「夜は冷たく長い 」
「夜空は深くそして広い」
実はこの曲の発表直前、京は本人も自覚していた程、精神的に追い詰められていたとのこと。
突然夜中に飛び起きてパソコンを叩き壊す、そのまま風呂の桶に2、3時間いる、等とても危険な状態だったようです。
この曲のインタヴューの際には「一年後ぐらいには、歌を止めてるかもしれない」とまで答え、記者を驚かせたことも。
タイトルの『Clever Sleazoid』は直訳すれば「賢くて、低俗な人達」ですが、これは「そういう気分にさせる周りの人間を指している」とも語っています。
いわゆる自暴自棄状態だったのかもしれません。
しかし、そうした苦悩の中から生み出された本作はリスナーからは評価され、これだけハードな曲調にも関わらず、オリコンチャートで最高10位を獲得しました。
素晴らしい作品は、ジャンルの垣根を越えて人の心に届くものなのかもしれませんね。
個人的にはこの
「声も出ないくらいに…そんな今に一人と気付く」
の部分が好きです。
他の歌パートは攻撃的な声なのに、ここだけキーも声量も下げて、囁くように歌われています。
詞の内容も他は殺伐としているのに、ここだけ弱音を吐いたように儚げ。
まるでさっきまでキレて暴れまわっていた人が、急に黙りこんで、静かに涙を流しているようです。
この暴力性と弱さを織り交ぜたような表現はDir en Greyの得意分野ですよね。
アルバムThe Marrow of a Boneには再録verも収められているのでそちらもオススメです。
それでは。
ブラインド・ガーディアン『Mirror Mirror』
今日はBlind Guardian『Mirror Mirror』について。
アルバム「Nightfall in middle-Earth」収録。
この曲は、ドイツのHR/HMバンドBlind Guardianが1998年に発表したパワーメタルです。
アルバム中唯一シングルカットされた曲。
いわゆる様式美メタル。
シンフォニックなイントロから始まり、そこから勇壮な音の塊が聴き手に迫っていきます。
疾走感のあるリズムが 楽曲の迫力を増しますが、それでいてメロディの美しさは損なわれていません。
整ったメロディがどんどん溢れ出て、サビではハイトーンでの大合唱。
SF映画のテーマソングのようなスケールの大きさです。
こういうファンタジックでありながら高級感のある作曲は、ハンズィ・キアシュ(Vo)&アンドレ・オルブリッチ(Gt)の持ち味ですよね。
数ある楽曲の中でも、この『Mirror Mirror』は多くのファンから「最高傑作」と評されることも多く、この曲が収録されたアルバムは、バンド初の、母国ドイツでのアルバム・チャートにおいてトップ10入りを果たす、という快挙を成し遂げました。
メンバー自身にとってもお気に入りのようで「Blind Guardianの全てが詰まっている」とまで語る程。
前作から約3年間音沙汰無しでしたが、だからこそファンは「待ってたぞ!」と思えたのではないでしょうか。
非日常感のある音楽が好きな人にオススメの曲です。
それでは。
中山美穂&Wands『世界中の誰よりきっと』
今日は中山美穂&Wands『世界中の誰よりきっと』について。
この曲は、日本の歌手中山美穂とロックバンドWandsが1992年にリリースしたポップロックです。
ドラマ「誰かが彼女を愛してる」主題歌 。
また、日本レコード協会から2ミリオンを授与された曲としても知られています。
「世界中の誰よりきっと 胸に響く鼓動を」
「ずっと抱きしめていたい季節を越えていつでも」
シンプルで、素朴に愛が表現されています。
そのダイレクトさが評価されたのか、1994年度日本作詞家協会賞を授賞。
当時まだ無名だった上杉昇にとっては、大きな栄誉だったのではないでしょうか。
作曲は、90年代に「小室哲哉と並ぶ作曲家」とまで称された織田哲郎。
明朗なメロディーを、歌唱力に定評のある中山美穂と上杉昇の二人が丁寧に歌い上げています。
完成形はややアップテンポのものですが、企画時に提出されたデモ段階ではバラード調だったとのこと。
しかし中山美穂側のプロデューサーが「クリスマス向けのパーティ感が欲しい」と依頼。
そこでアレンジャーの葉山たけしにより、派手な8ビートアレンジがなされ、現在の形となったようです。
それ以外にも数々の細かな工夫が施され、それが当たったのか、183万枚の売上を超え、1992年末から1993年始にかけて実質4週に渡り首位を維持。
「織田哲郎がてがけた全ての曲の中で最も売れた曲」とまで呼ばれ、邦楽史に名が残る特大ヒット曲にまでなりました。
デビューして間もないWandsは、この曲で日本中に一気に名を知られることになります。
当時から知名度があった中山美穂と、その時まだ有名では無かったWandsのコラボについて、一部では「どうしてだろう?」と訝る声もあったよう。
しかしこの曲で彼らの知名度、ファンが急増。
Wandsにとっては実力を証明するいいきっかけになった曲ではないでしょうか。
メインVoは中山美穂で上杉昇はコーラスといった形ですが、カップリングでは、上杉昇がメインVoを勤める別verもあるのでそちらもオススメです。
それでは。
清春『LAST SONG~最後の詞』
今日は清春『LAST SONG~最後の詞』を聴いた感想を。
この曲は、日本のシンガー・ソングライター清春が、2005年にリリースしたロックチューンです。
タイトルで誤解してしまう人もいそうですが、清春はこの曲の発表後もミュージシャンを続けています。笑
ミドルテンポですが、メロディアス。
サビメロから入る始まりが、一瞬で聴き手の心を掴んでくれます。
ギターを中心に、絶妙なサウンドを作ったのはアレンジ担当の三代堅。
力強くも適度に歪ませている音色で、楽曲に漂う葛藤感、切なさを表現してくれています。
全体的に清春の歌い方が儚げなのも、魅力的。
歌詞は、ある意味「最後の詞」のタイトルに相応しいもの。
「最初から解ってたよ 僕の歌はずっと孤独だった」
「はじめから解ってるよ 僕はずっとひとり(孤独)だった」
どこか達観的ではないでしょうか。
今まで黒夢、Sadsなどグループで活動してきた清春ですが、自分の世界を大切にする彼は、そんななかでも周囲の人々に溝を感じて寂しかったのかもしれません。
清春の楽曲は大半がダークですが、ここまでストレートに暗い感情を吐き出している詞も珍しいと思います。
ちなみにライブにおいては「忘却の空」の時のように、即興で詞を変えることがあります。
「最初から解ってたよ“ 僕と君は同じだった”」
「はじめから解ってるよ “僕は君と同じだった”」
目の前にいるファンに、直接語りかけるような詞。
完全な「孤独」ではなく、「僕の曲に共感してくれる君達は、僕と同じ苦しみを抱えた人達だね」と言っているようにも見えますよね。
「寂しい」という感情も誰かと分かち合えば、むしろ温かいものになる。
ライブ会場で、生の歌声を聴いたファンの人達は、その瞬間確かに清春の心に近づけたのではないでしょうか。
脆いようで芯のある想いが込められた歌を、是非聴いてみてください。
それでは。